【書棚】『井村雅代 不屈の魂』
ランニングと直接の関係はないのですが😅
手に取って、一気に読みました。
取り立ててシンクロに詳しくない自分が知っていたのは、
メディアで何度も紹介されているのを見て、
厳しすぎる・・・
世界の指導とは真逆を言っているのではないか?
真剣勝負の世界にきれいごとかもしれないが、
選手をしごいて結果を出す時代は終わったのでは?
という感想(反発?)を持っていたからです。
ただ、心の内を知らずに反発していているのも変だと思い、
読んでみました。
井村さんは、日本、中国と場を変えても全ての参加大会で
メダルを獲得してきたシンクロの常勝コーチです。
本書は第三者の目線で、井村さんの半生から
日本や中国のトップ選手を指導してきた舞台裏が語られています。
自らの正しさを貫き、時には権力にも反論する井村さんの生き方は
まさに「不屈の魂」でしょう。
選手のこと、シンクロのことだけを考え、全てを捧げてきた
井村さんの人生には、人を惹きつける力があると思いました。
さて、気になっていた”スパルタ指導”ですが。
本書で割いている頁は少なく、最近の「ゆるキャラ軍団」とも称する
若い子たちへの指導に試行錯誤する姿が描写されているくらいでした。
その中で分かったのは、
・厳しい一辺倒ではなく、指導する相手をよく見極め、
適切な言葉をかけようとしていること
・中国選手(以前は黄金期の日本でも)からの反発にも
頭ごなしに否定するのではなく、しっかり向き合っていること
という井村さんの姿でした。
読む前は(失礼ながら)
いいから黙って指導に従え!😡
というスタイルかと思っていたので、良い意味で印象が変わりました。
大舞台での悔し涙を嫌というほど味わっている井村さんだからこそ、
そういう接し方になるのも分かる気がしました。
だからこそついていく教え子も多いのかと。
自分が知る限り、シンクロだけでなくバレーや吹奏楽、
チアダンスやマーチングなど、チームとしての競技は、
強豪であるほど指導が厳しい印象があります。
しかし、キプチョゲ選手を支えるコーチやスタッフに、
そうした厳しさは感じられません。
ポジティブなエネルギーで満ち溢れています。
(見えてないだけ?)
どちらが正解という話でもないですが、
「アスリートメンタルの育て方」というテーマで
今後も色々な考えに触れていきたいと思いました。
- 井村雅代 不屈の魂: 波乱のシンクロ人生
- 河出書房新社
- 本